腰・足の不調

坐骨神経痛・椎間板ヘルニア

坐骨神経痛・椎間板ヘルニア

一般には坐骨神経痛とは坐骨神経の経路及びその分布領域におこる疼痛のことを指します。
以前は椎間板ヘルニアなどによる神経の圧迫が原因の一つとされてきましたが、ヘルニアのある人でも痛みがない人もいることから現在は否定されています。

漢方には神経や神経経路という考え方がありませんので、坐骨神経痛の病因や症状からあてはめますと痺証や腰腿痛などが主にその範疇に含まれることになります。

その病因は複雑ですが鍼灸治療においてよく見られる疾患の一つです。
主な症状は腰部、臀部から大腿後面〜下腿後面 大腿外側から外果にまで及び、また疼痛・腫痛・掣痛・麻木痛など人によって様々な痛みが起こり、足の引きつりを伴うこともあります。
圧痛点は第4〜5腰椎棘突起外側 1.5〜2cmの部位や膝窩、下腿外側、外踝の後ろなどに出現しやすく、単純な局所刺激における鍼治療だけで止痛を図ろうとしても一時的に痛みを止めるだけで、又すぐに戻ってしまうということを繰り返してしまうことがよくあります。
原因を取り除かないとなかなか思うような治癒へと結びつかないのが現実です。


では東洋医学で考える坐骨神経痛の原因とはどの様な物なのでしょうか?
主に以下のように分類することができます。
1. 寒湿阻滞型
2. 気滞脈絡型
3. 気滞血オ型
4. 気血虧虚型
5. 湿熱蘊鬱型
6. 腎精虧虚型


それぞれ順を追ってご説明いたします。
1.寒湿阻滞タイプ
冷えや湿気によるものです。冷えると痛みが増強し、温めると少し楽になる。
雨天や寒冷により痛みは増強するのが特徴です。
2.気滞脈絡タイプ
気の流れが滞ったのが主な原因です。 持続性の脹痛があり咳嗽やくしゃみ等の動作により痛みが激しくなります。
3.気滞血オタイプ
気が滞ると血の流れも悪くなります。 気の滞りにより血の運行がうまくいかなくなり体のなかにオ血というものができた為に特定の部位が痛くなるのが特徴です。
痛みの種類は張る感じの他に、針で刺されたような痛みなど顕著な圧痛点がありまあす。
痛む箇所は「ココ」と言うように一定しています。
4.気血虧虚タイプ
気血が足りなくなったのが主な原因です。ここでの気血不足というは一種の栄養失調と考えてください。坐骨神経痛の痛みの他に、持続性の痛み、無感覚などがあります。
補気補血を治療のメインにするため少し時間がかかります。
5.湿熱蘊鬱タイプ
からだに湿熱が溜まったために発生するのが主な原因です。坐骨神経痛の痛みのほかに重だるく感じられたり熱感が感じられます。
6.腎精虧虚タイプ
からだの中の先天の元気とも言うべき精気が不足して発生するタイプです。坐骨神経痛の痛みのほかに、腰背の部分に痛みが発生したり、足と膝に力が入らない、長くたっていられないなどの症状が見られます。
補腎精が治療のメインにするため少し時間がかかります。


以上、坐骨神経痛についてご説明させていただきました。
一口に坐骨神経痛といっても原因は様々です。
実際、臨床で見ておりますと全ての症例が上記の症状にぴたりと
当てはまるわけではありません。
いくつかの症状が複雑に絡み合っている場合が多々あります。
治療に際しては一人一人の体質の違いを考慮に入れながら原因を探り根本を治療するのでなければ治癒させるのは難しいということがお分かりになると思います。

症例1
 40代男性です。
 スーッと音も無くある男性の患者さんが入ってこられました。体が右に傾いたまま、表情も暗く本当につらそうな様子です。
 右大腿部の後ろが重く痺れがあり一ヶ月整体治療を受けたが効果が無いとの理由での来院でした。
 とにかくまっすぐになることができず会社ももう何日も休んでいるとのこと。夜になるとさらに痛みがひどくなるので良く眠れないとのことなのです。
 見ると右の腰に硬縮があり右足のふくらはぎがつっています。
 夜になるとさらに痛みがひどくなるというのは体の正気がすでによわくなっている証拠です。この方の場合発病から少し時間がたっているということと体を変にいじくってしまったので少し時間がかかりました。
大体2週間ほどで朝の引きつった感じは好転。一ヶ月くらいで動けるようになりました。ほぼ9ヶ月くらいで完治となりました。ご本人が心配されていた(骨がまがってしまったのではないかと・・・)背中もまっすぐになりました。

症例2
 坐骨神経痛で来院される方は一人で歩くことが難しい場合もあり、ご家族と一緒に来られる方がわりと多くいらっしゃいます。
80代、女性のSさんもそんな一人です。
とにかく歩けないので車椅子での来院でした。
最初の数回はそれほど変化がありませんでした。
ご本人曰く 最初は治療した直後、少し痛みが出たそうです。
治療を止めてしまおうかと思ったそうです。
でもそんな時、お友達に治すのは針治療しかないんだからと言われ治療を続けたそうです。
治療家として治療を始めてもう随分経ちましたが、やはり慢性病や長く患った疾患の場合、治療に時間を要することがあります。
もちろんこちらとしては良くなっているということはわかっているのですがご本人の自覚とは少し異なります。
こんなとき大切なのは身近な人のこんな一言なのです。
そして家族の支えです。
治療を開始したのは年末でしたが、年が明ける頃には一人で来院することができました。

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