頚・肩の不調

五十肩(四十肩)

五十肩(四十肩)

五十肩(四十肩)とは明らかな原因がないけれども肩に疼痛があり可動域に制限が生じる疾患の俗称です。病院では「肩関節周囲炎」「凍結肩」「癒着性関節包炎」などの病名がつくものが五十肩に該当します。
 
大別すると肩を動かしたときに痛む[運動時痛]の人、何もしなくても痛む[安静時痛]の人、寝ているときにつらい[夜間痛]の人、いづれかもしくはミックスタイプの人に分けられます。

五十肩は時間的経過で自然治癒する病気ですが、放置すると治ったとしても腕が上げられないなど運動障害が残る方もいらしゃいますので、適切な治療を受けられることをお勧めいたします。


発生原因
上記でも明らかな原因がないと書きましたが、気が付いたらいつの間にかとか徐々に悪くなったケースや、肩を打撲した後やスポーツが誘因となったり、肩を使いすぎたため痛くなるなど本当の原因がハッキリわからないケースが多くみられます。

症状の特徴として
結髪動作(髪をとかしたり頭をかく動作)、結帯動作(エプロンの紐を後ろ手で結ぶ)が困難であること、夜間痛があることなどが五十肩の特徴とされています。


病期
五十肩の治癒までの経過は急性期・慢性期・回復期の3つに分けられます。

急性期(疼痛期)
急性期は強い疼痛に悩ませられる期間です。
この期間は急な動きや無理な動作を控えていただき、炎症を鎮め夜間痛を和らげる治療を行います。
生活する上で注意していただきたいのは食事で、砂糖や果糖・アルコール・カフェインの強い飲料などの摂取は、体の状態が悪い時ほど少量でも強い痛みを伴いますので特にご注意ください。
また入浴もシャワー程度に抑えておく方が経過が良いようです。

慢性期(拘縮期)
急性期を過ぎると痛みも少し落ち着き慢性期へと移行します。
肩は少し動かせるようになりますが、人により関節ロックがおこったり、肩の可動域がせばまり腕が上げられなかったり重いものが持てないなどの症状がでます。
この期間は筋肉の拘縮防止や可動域の確保を目的に治療をおこないます。

回復期
治療と並行して適切な刺激量と正しい運動療法を行うことで、痛みを最小限に抑えながら早く回復させることができます。


五十肩と関連筋
五十肩で来院するかなりの方に見られる特徴として、頚が前方に出ていたり・背中が丸まっていたり・肩口が前に出ている猫背の姿勢が目立ちます。
この様な姿勢は肩の筋肉の収縮動作を阻害し痛みを増幅させることになります。肩周辺のみの治療を受けても五十肩が良くならないのはこんなところにも原因があります。

ところで肩の骨ってどの骨を指すかご存じでしょうか?

肩関節を構成するのは肩甲骨と鎖骨と上腕骨の3つだけです。つまり肩甲骨に腕の骨がはまっていて(本当ははまっていませんが)鎖骨が補佐しているようなイメージと言ったらわかりやすいでしょうか。

肩関節を構成する筋肉には、肩甲骨につく棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋や背中に広がる僧帽筋・広背筋・菱形筋などがあります。

その他肩の筋肉ではなくとも五十肩に関係するのは、後頭下筋や上腕二頭筋・上腕三頭筋・胸の大胸筋・小胸筋など、肩を動かす時に連携して働く筋肉群もあり直接・間接的に影響を与えているので注意深く診る必要があります。

筋肉の種類と痛みの相関関係についてみてみると
棘上筋に問題がある方は肩を外側に上げるとき痛む
棘下筋に問題がある方は結髪動作時に痛い
小円筋に問題がある方は歯磨きなど腕を前方で上げる動作が痛い
肩甲下筋に問題がある方は眠るときに痛みます

また背中が丸まった猫背の方は大胸筋や小胸筋、菱形筋などの拘縮が原因である場合が多く見受けられます。

東洋医学で五十肩に該当するのは[漏肩風]・[肩凝風]などです。気が衰退して血流が低下したところに寒邪気や湿邪気が入った場合、冷えや慢性労損により経絡が阻滞し気血不暢による於血の発生が肩の痛みや動作制限の原因として考えられています。

当院での治療はまず本治法で五臓の調整を行います。このような治療を行うと筋や筋肉がゆるむのでそのあとの調整が行いやすくなります。

身体全体のバランスをととのえた後、必要に応じて標治法といって身体の各部に対する治療を行います。

標治法はその場で体が変化するので効果が分かりやすいのですが、やはり本治法を行いベースを調えないとその場限りの効果になってしまいます。

本治法と標治法。この二つを上手に組み合わせることで治療効果を高め苦痛を早く取り除くことができます。





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