医食同源

薬膳の基礎知識

  • 四性ー食べ物には温熱の性質と寒涼の性質があります。
  • 五味ー酸(すっぱい) 苦(にがい) 甘(あまい) 辛(からい) 鹹(しおからい)

季節の薬膳

体質の薬膳

  • 補陰の薬膳ー暑がりで体が痩せている人、口や喉がよく乾いている人は身体の陰が不足しています。
  • 補陽の薬膳ー冷え性の人は身体の陽気が不足しています。
  • 気鬱の薬膳ーいらいらしたり気持ちがすっきりしないとき
  • 痰湿の薬膳ーだるくて身体が重いとき

薬膳コラム

  • 残暑の薬膳
  • 疲れた人は豚肉をたべよう!ー暑さが残っているこの時期、積極的に取りたいのが豚肉です。
  • アンチエイジング粥ー先日枸杞子をいただきました。そこで今日は美容粥の紹介です。
  • 七草粥ー七草粥はまさに日本の薬食粥です。こんなすてきな食文化をこれからも大切にしたいですね。
  • お餅を食べると便秘する?ーお餅って食べ過ぎると便秘するの?
  • 黒豆ー黒豆食べてまめまめしく・・・
  • 水の飲み方ー夏に暑くて汗をかいているときは・・・
  • 今年はウリで暑気払いー胡瓜(きゅうり)に冬瓜(トウガン)、苦瓜(ゴーヤ)に西瓜(スイカ)♪・・・。ウリの字の付く野菜には体の熱を下げ小水の出をよくする作用のあるものが多くあります。
  • 体とスイートな関係ー“女の子のからだは何でできているの?お砂糖とヴァニラとすてきなものでできているの。”なんて一節が確かマザーグースにあったと思いますが・・・
  • 春の薬膳?ー花粉症には、せり・セロリ・ミツバ・・・?





四性

食べ物には 温熱性の食べ物と寒涼性の食べ物があります。

この寒熱温涼の4つの異なる特徴を四性または四気といいます。

温熱性の食べ物にはからだを温める性質があります。

この温める性質というのはからだを興奮させる新陳代謝を高める
気血のめぐりを良くする冷えを取り除くなどの意味です。

温と熱の違いは程度の差です。
温より熱のほうが温める働きが強くなります。

寒涼性の食べ物にはからだを冷す性質があります。

この冷す性質というのはからだの興奮を鎮め炎症を押さえたり
熱を取り除いたりする働きです。

涼より寒の方が冷す働きが強くなります。

夏の暑い時、身体に熱がこもっている時などは
寒涼性の食べ物を多めにとります。

冬の寒いとき、身体が冷えているときは
温熱性の食べ物を多めにいただきます。

ですが寒熱をあまり神経質に考える必要はありせん。

ふだん私たちが口にしている食べ物の大部分が平性といって温熱性でもなく
寒涼性でもないちょうどその真ん中の性質を持っています。

普段食事をいただくときはなるべくこの平性に近づけるように
心がけると食事のバランスがよくなります。

身体をつくるもとである肉類を1と考えて野菜類をその2〜3倍いただいていると
だいたいその割合になります。

さらにその季節に取れる野菜をいただくようにすると
夏は少し涼性に冬は温性に傾くように自然の仕組みはうまくできているのです。




温熱性

熱性の食べ物
からし・とうがらし・こしょう・さんしょう・肉桂(シナモン)

 

温性の食べ物
もち米・なた豆・にら・ういきょう・生姜・葱・からし菜・香菜・あぶらな・にんにく・かぼちゃ・酒・酢・杏・桃・ざくろ・栗・くるみ・なつめ・まつの実・鹿肉・鶏肉・羊肉・豚のレバー・ハム・えび・なまこ

これらの食品には温経助陽活血通絡散寒などの作用があります。

身体をあたため、冷えを取り除き、身体の新陳代謝を高め、気血のめぐりをよくしてくれます。

寒涼性

寒性の食べ物
苦瓜・きゅうり・冬瓜・トマト・黒クワイ・浜納豆・ハス・あわり・かに・しじみ・たにし・昆布・のり・ワカメ・すいか・バナナ・柿・ゆずなど

 

涼性の食べ物
ナス・セロリ・粟・大麦・小麦・そば・はと麦・緑豆・緑豆もやし・豆腐・りんご・梨・びわ・みかん・マンゴー・お茶など

これらは滋陰清熱瀉火涼血解毒作用があります。
身体の熱をとり、興奮を鎮め、炎症を抑える働きです。




 

五味

五味とは酸(すっぱい) 苦(にがい) 甘(あまい) 辛(からい) 鹹(しおからい)、食べ物の味を主に五つに分けたものです。(この他に淡味と渋味もあります。)

これは実際、ものを食べた時の味と食べ物がもっている性質から考えられた抽象的な概念を含みます。

五味には酸収、苦降 甘補 辛散 鹹軟といってそれぞれ異なる働きがあります。

酸味には出すぎるものを収め、渋らせる作用を持っています。暑くもなくそれほど動いたわけでもないのに汗が出る、慢性的な下痢、遺精などに効果的です。

苦味にはからだの熱を冷まし、湿を取り除く作用降下作用や健胃作用があります。苦瓜などを思い出していただくといいかもしれません。

甘味には滋養作用、脾を補い、胃などの緊張を緩め痛みをとる作用や潤燥の働きがあります。

辛味発散、行気、行血作用があります。からだを温めて発汗させたり、気血のめぐりをよくする働きです。

唐辛子を食べるとからだがカッカして汗が出てきますね。

鹹味の働きは軟堅といってしこりを和らげたりする作用があります。

五味の他に淡味は利尿の働きがあります。

また渋みには収斂固渋の働きがあります。

この様に味にも一つ一つ異なる作用があります。


※当院では治療終了後の健康維持の為、薬膳指導をしております。

 

医食同源 四季の野菜

漢方では医食同源といって食べるものは薬と一緒と考えます。
私たちの体は毎日食べる食べ物によって常に生まれ変わっています。

きちんとしたものを食べるということが健康を維持する上でも
病気を治療する上でもとても重要なことです。

じゃぁいったい何を食べたらいいの? と思われる方もおられますが、
それほど難しく考える必要はないのです。

基本は季節の野菜を食べること。

そこで季節の野菜とは何かということになりますが、
大まかに四季の気候をイメージして野菜を分けると、

まず春は芽吹きの季節です。そこで地上から生えているものが春の野菜。
キャベツや菜の花やもやしなどですね。

夏は地面が非常に熱いですので木にぶら下がっているもの。
トマト、ナス、きゅうりといった類。

秋は実ったもの。種実類。

冬は土の中の物の根菜類といった具合です。
もちろん例外もありますが、だいたいこんな風に考えていただければ大丈夫です。

春の薬膳

食養生の基本は季節の野菜をいただくことです。

その季節に取れるものはその季節のエネルギーを吸収しています。

さて春は陽気が芽生え気が上昇する季節であるということを春の養生でご紹介しました。
また春は肝が旺気(元気になる。活発になる)する季節でしたね。

ですから春の食養生で気をつけたいのは肝を養い肝気の流れをよくすること。

肝気の流れがスムーズに行かなくなるとイライラやのぼせなど気が逆上した症状が出やすくなります。
このような時は気の流れをよくする食べ物をいただきます。
えんどうまめ・キャベツ・玉ねぎ・アブラナ・ニラなどです。

また身体の中の陰が不足すると相対的に陽が亢進しやすくなります。ですから陰を補う食べ物もいただきます。
小麦・大豆・黒豆・アサリなど貝類など。

また肝は血と深い関係があります。
補血作用のあるものも必要です。
レバー・肉類・青味の魚・にんじん・ほうれん草・小松菜・落花生黒ゴマ・黒豆などです。

冬の間にじっとしていた人は身体に熱がこもっている場合があります。そうすると目が赤くなって痒いなど花粉症のような症状が出てき易くなります。
清熱作用のあるものはたけのこ・ジュン菜・セロリ・セリなどです。

また肝の働きと脾胃の働きは非常に密接です。脾胃の働きをよくする食べ物もいただきます。
健脾作用のある食べ物は、山芋・穀物類・豆類・じゃがいもなどのイモ類です。

またそれらを気をつけてもどうしても身体の調子が改善しない時は鍼治療をお勧めします。

やはり五臓六腑の働きがよくないとせっかく食べた食べ物をうまく消化吸収することができません。

また肝気を整えるのは針治療が一番早いように思います。

 

夏の薬膳

さて、夏は心が旺気する(活発になる)季節です。

漢方の心とは西洋医学でいう心臓の働き以外に、
脳の働きの一部や自律神経の働きも含みます。

心の働きが悪くなるとからだに力がない、汗が多い、動悸、息切れ、胸が苦しい、
不整脈などのほか不眠、健忘、不安感イライラなどの症状が出てきます。

夏は陽気が盛んになる季節です。

暑くなってきて体の陽気がうまく体外へ発散できないと
体内に熱がこもりやすくなります。

こうなると身体になんとなく熱がこもったようになり身体がだるくなります。

人によっては気持ちが落ち着かない眠れない胸が苦しくなったりといった
症状が出ることもあります。

とまとなすきゅうり冬瓜ゴーヤなど夏とれる野菜は
身体の余分な熱を冷ましてくれます。

その他、緑豆もやしそば小麦粉豆腐昆布ワカメなどの
海藻類、食べるとさっぱりするものも夏にはいい食材です。

興奮を鎮める作用があります。

脂っこいものや辛いものの食べすぎには注意しましょう。

しっかり水分を補給し汗をかく。
夏野菜をいただいて血脈をきれいにする。
これ夏の養生の基本です。

 

長夏の薬膳

長夏は湿を主ります。

自然界が多湿になると胃腸の機能が低下し、飲食物の運送が滞ってさらに湿が生じやすくなります。(これらの働きを漢方では脾の働きと考えています。)

内湿は外湿を呼ぶといってもともと湿気に弱いタイプの人、身体に湿が溜まっている人もこの時期はさまざまな症状が出てきます。

身体が重い、だるい、胸苦しい、呼吸が入らない気がする、身体がなんとなくむくみやすい、気分がうつうつするなどです。

漢方で考える脾の働きは現代医学で言うところの胃腸と関係があります。

もともと胃腸の弱い方はつらい時期になります。
気持ち悪い、吐き気がするなどの症状が出やすくなります。

ですからこの時期は身体になるべく湿をためないこと脾臓を元気にする(胃腸と考えた方が分かりやすいかもしれませんね。)ことが大切です。

まずよく手足を動かしてください。

手足は脾臓の倉庫という考え方があります。

また古典には“手足を動かすと糟粕化す”という言葉があるように手足を動かすと大小便の出が良くなり体の中の余分な水分を押し出してくれます。

この時期には健脾作用のあるものや利水作用のあるものを積極的にいただくといいでしょう。

また夏に取れる食べ物には身体の中の熱を取り除いてくれたり利尿作用を促してくれるものが少なくありません。

例えばきゅうり・西瓜・冬瓜などのうり類等です。緑豆にもそのような効果があります。緑豆で作られた春雨など夏の暑い時に食べるとさっぱりするのはそのせいですね。

また利尿作用という点では小豆やはと麦などにもそのような効果があります。

漢方薬の中に薏苡仁というのがありますが、これははと麦のことです。

麦茶はそのはと麦を炒ったものです。(薏苡仁の効果は健脾利水ですが炒ってあるとどちらかと健脾作用の方がメインになります。)

夏は胃腸がくたびれやすい季節です。この時期に麦茶を飲むというのは昔の人の生活の知恵ですね。

またこの時期避けたい食べ物は甘いもの熱性の高いものです。甘温助湿といって甘くて熱のあるものは湿を生むからです。

 

秋の薬膳

秋になると空気中の湿気がだんだんと少なくなり空気が乾燥してきます。

季節に合わせて身体を補う・・・これ東洋医学の基本的な考え方です。

春は補昇、夏は補清、秋は補平、冬は補温です。

補平って何?

つまり秋はうまくバランスをとることが大切です。
陰と陽、動と静、湿と燥・・・などです。

例えばあまり動き回りすぎて、大汗をたらたらかいたりすると体内の陽気が外へ漏れ、からだの中の必要な水分(津)が消耗し身体の中の抵抗力が弱くなってしまいます。(動と静のバランスです。)

この季節は暑かったり寒かったり気温が大きく変化します。
身体もそれに合わせて温かくしたり、暑くなったらすぐ脱ぐなど工夫が大切です。 (寒と熱のバランスです。)

また秋は空気中の湿気がだんだんと少なくなり空気が乾燥してきます。身体の乾燥に気をつけて潤いをあたえるように心がけます。
(湿と燥のバランスです。)

秋の食養生の基本は、益気・潤燥・滋陰(気を補い、乾燥に気を付け、陰を養う)を心がけます。

気が足りなくなると疲れやすくなったり元気が足りなくなったりと、気力や体力がなくなります。

気を補う食べ物はたくさんありますが穀類やイモ類、豆類、肉類です。

滋陰潤燥の働きのある食べ物は(身体を潤す働き)全粒粉・落花生・ゴマ・さつまいも・山芋・かぼちゃ・だいこん・白菜・百合・きくらげ・なし・りんご・葡萄・枸杞・オリーブ・杏仁・蜂蜜・豚肉・かも肉等です。

陽気を収斂するために少し酸味のものも一緒にいただくといいでしょう。

 

冬の薬膳

立冬から立春までの3ヶ月間は冬の季節です。

さてこの季節に気をつけたいのは身体を冷やして陽気を損なわないようにすること。

補陽の食材や温熱性の食べ物を食べるようにします。

それから生もの冷たいものを避けるようにします。具体的には夏野菜などはなるべく避け必ず火を通していただきます。

冬の野菜は主に(必ずしもというわけではありませんが、)地面の上下のもの。白菜、こまつな、ほうれんそう、根菜類などです。

特にからだを温める食材としては生姜をはじめとしてにんにく胡椒グローブ黒砂糖とり肉羊肉くるみもち米えびなどです。


または漢方では冬は腎と関係が深いと考えていますのでこの時期は補腎も心がけます。

を補う作用のある食べ物は、豆類黒ゴマ山芋豚肉くり桑の実枸杞子牡蠣などです。

寒いからといってじっとしていると気のめぐりが悪くなりよけい寒くなってしまいます。

散歩などして適度に体を動かすよう心がけるといいでしょう。




おすすめ食材

  • 補気助陽 : 気を補い、陽気が働きやすくします。
    うるち米・もち米・長芋・じゃが芋・いんげん・栗・胡桃・干し椎茸・鶏肉・羊肉・鹿肉・えび・なまこ
  • 補血滋陰 : 血を補い陰を補充します。
    ほうれん草・にんじん・ゆり根・いか・豚肉・豚レバー・鶏レバー・落花生・ゴマ・貝類・すっぽん
  • 理気活血 : 気を巡らせ、血流をよくします。
    そば・らっきょう・青梗菜・くわい・グリンピース・ジャスミン・バラの花・梅の花・みかんの皮・酢・酒
  • 散寒通陽 : 寒さをはらい、陽気を通じさせます。
    ねぎ・しその葉・香菜
  • 温裏散寒 : 臓腑を温め、体内の寒気を散らします。
    にら・唐辛子・生姜・山椒・ウイキョウ・羊肉・鹿肉・ナマコ・えび

    画像の説明



補陰の薬膳

陰が不足している人は手足がほてる、口や喉が乾燥する、胸がざわざわする、眠れない、夢が多いなどの症状が現れやすくなります。

陰を補うことを滋陰といいます。

滋陰の食べ物は豚肉・かも肉・卵・牛乳・なまこ・ハマグリ・いか・梨・枸杞子・きくらげ・阿膠・西洋人参などです。

この他陰虚体質の人は牡蠣・ヨーグルト・しじみ・豆乳・葉物野菜・もやし・きのこ・緑茶・粟・黒米・そば・トマト・れんこん・苦瓜・緑豆・ぶどう・ゆり・ゆでピーナッツ・いちご・柑橘類・イチジク・バナナ・西瓜・蜂蜜・ローヤルゼリー・ゴマなどもいいでしょう。

胡椒やシナモン、鶏肉この他、羊肉・炒めた落花生・ニンニク・ニラ・らっきょう・とうがらし・生姜・フェンネルなど体が熱くなる食べ物は食べ過ぎ注意です。

 

補陽の薬膳

画像の説明

身体の陽気が不足している人の特徴は、顔色が白くてつやが無い。
身体が白くて太っている。(水肥りの状態です)
寒いのが苦手で飲み物なども温かいものを好む。
便がゆるくなりやすい。動かないのに汗が出るなどの特徴があります。

このような人が体調を崩すと、冷えの症状がさらにひどくなります。

寒さを恐れて縮こまり、手足がひどく冷える。
お腹がしくしくと痛くなり、温めるとよくなる。
また、身体がむくみやすい。腰がだるくて冷たい。下痢をする。

男性ではインポテンツ。女性では子宮の冷えや不妊症の原因になる場
合もあります。

五臓の中では腎が陽気の根本、脾は陽気の生化の源と考えます。
陽気不足の人はこれらを補うことが大切となります。

陽気を補う作用の強い食品は鶏肉・羊肉・雀の肉・鹿肉・なまこ・乾姜(生
姜を干したもの)・胡椒・シナモン・レイシ・フェンネル・ナツメグなどです。

このほかにもニラ・にんにく・生姜・葱・酒などもあります。

陽気不足の人は、冷たいもの、にがうり、とうがん、セロリ、梨や柿、すいかなどの果物
は控えましょう。

緑茶よりも紅茶、パンよりご飯がお勧めです。

冬の薬膳も参考になさってください。

 

気鬱の薬膳

気鬱とは気の流れが鬱滞することをいいます。

気の流れが鬱滞するとイライラしたり怒りやすくなったり、またはうつうつしたり胸苦しさを感じたりため息が出やすくなります。

またお腹がはった感じ、女性では生理不順や脇や乳房脹痛、また咽に異物がつかえているような感じなどの症状も気鬱の症状です。

養心安神作用のある食物としてはゆり根やはすの実などがあります。

また理気作用のある食べ物は、みかんやゆず、金柑など柑橘類の皮、ういきょう(フェンネル)、にら、にんにく、らっきょう、バラの花、ジャスミン茶などです。

痰が気鬱の原因になっているときはダイコンやたまねぎなどいただくといいでしょう。

お酒は少量であれば飲んでも差し支えありません。

辛いものやコーヒー、濃い目のお茶などの刺激物は避けます。脂っこいものや甘いもの、味の濃いものなどは少なめにいただくように心がけるといいでしょう。

また散歩や軽い体操など気の流れをよくする効果があります。

それでも症状が改善しないときは鍼治療がもっとも効果的です。

鍼治療には全身の気血の流れを調整する働きがあるからです。

 

痰湿の薬膳

痰湿が身体に溜まると身体が重い、だるい、動くのがおっくうなどの症状がでます。

身体が太っている(主に水太りや脂肪太りなど)のも痰湿が身体に溜まっている証拠の一つです。

病気になると胸苦しさや痞える感じ、咳をするとき痰が多い。あまり食べられない、気持悪くて吐き気がする。

頭や身体が重い、肘や膝など関節が痛くて重い。

女性であればおりものが多すぎるなどの症状がでます。

まず甘いものや脂もの、味の濃いものなどを控えましょう。お酒の飲みすぎも禁物です。

野菜をたくさんいただくようにしてください。

健脾利湿、化痰袪痰の食べ物にはダイコン、くわい、のり、くらげ、たまねぎ、にんにく、ビワ、みかんの皮、銀杏、はと麦(ヨクイニン)、フジマメ、小豆などがあります。

これらをたくさん食べるようにします。

 

残暑の薬膳

厳しい残暑が続いております。

立秋を過ぎ、少し空気が乾燥した分、日差しがきつく感じられるようになりました。

暑さ寒さも彼岸まで・・・あともう少しの辛抱でしょうか。

空気が乾燥して来るこの季節、清熱+滋陰がお勧めです。

また暑いとどうしても冷たいものをいただくのでこの時期になるとそろそろ胃袋がくたびれている方が多くなっています。

胃袋をいたわる山芋なども合わせていただくようにします。

身体の熱を下げる食べ物
清熱解暑・生津止渇:あわ・そば・小麦粉・レタス・トマト・はす・きゅうり・セロリ
ゴーヤ・もやし・緑豆・すいか・キウイフルーツ・バナナ・梨・緑茶・豆腐
清熱解毒:ゴーヤ・きゅうり・水菜・じゅんさい・豆腐・ゆば・こんにゃく

脾胃の働きを良くする食べ物
補脾益気:穀類・イモ類・しいたけ・キャベツ・肉類・イワシ・タラ・マナガツオ
健脾益気:大麦・はと麦・とうもろこし・いんげん
健脾消食:大根・おくら
養陰益胃:小麦・豆腐・豚肉
疏肝和胃:そば・たまねぎ・ジャスミン

身体を潤す食べ物
滋陰生津:あわ・れんこん・きゅうり・とまと・松の実・白胡麻・黒胡麻・梨・牛乳
卵・豆腐・貝類・きくらげ

 

疲れた人は豚肉を食べよう!

夏の疲れが残っているこの時期、積極的に取りたいのが豚肉です。

性質は平性或いは微寒
補腎滋陰・益気養血・潤燥・消腫の働きがあります。

益気養血というのはからだの中の気や血を補うということです。
からだのエネルギーが不足している人にぴったりです。

また漢方では腎は先天を主どると考えます。成長・発育・精力・知力です。
腎気が不足するとそれらの働きが悪くなり、実年齢より年をとった状態となります。

潤操作用もありますので日焼けして肌に潤いがなくなったと感じている方にも是非お勧めします。

 

アンチエイジング粥

女性にとっていつまでも若く美しくいたいというのは永遠のテーマかもしれません。

鍼治療を続けていると若くいられるというのはすでに皆さんご存知だと思います。

そこで今日はさらに美容・老化防止に効果があると言われているお粥のご紹介です。

枸杞山薬粥
[作り方]
お米100グラムはあらかじめ研いでおき水を切っておく。

水一リットルを沸騰させそこに先ほどのお米と山芋(皮付き)を加えて炊く。

沸騰したら火加減を調節し20分ほど炊く。

洗っておいた枸杞の実を加え、さらに20分間炊き火を止め10分蒸らす。

漢方では抗老の為には肺脾腎を補うと良いと言われています。

枸杞の実には肝腎を補い肺を潤し、目をはっきりさせる作用があります。

また山芋には気を補い脾蔵の働きを補う作用があります。
ちなみに山芋は漢方薬では山薬といいます。

くたびれて食欲がない時、からだに元気が足りない時、
目が疲れて老化かなと思う時試してみるといいでしょう。

 

七草粥

せり・なずな・ゴギョウ・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろこれぞ春の七草と歌にうたわれています。

せりは分かりますが、なずなやはこべらなど現代を生きる私たちにとっては???です。

実はナズナはペンペングサ
ゴギョウは母子草
はこべらははこべ
ほとけのざはたびらこ
すずなはかぶ
すずしろはだいこんのことだそうです。

ペンペングサやほとけのざはもう少し暖かくなると都会の道端でもよく見かけます。

かぶやだいこんはよく知られていることですが消食作用といって消化を助ける働きがあります。

セリやナズナなどは清熱作用があります。

お正月は普段食べないご馳走を食べる時です。お餅やお酒などもたくさんいただきます。これらは熱性が強いものですので身体に熱がこもりやすくなります。

同時に暴飲暴食により胃腸の働きは悪くなります。

昔のお正月は旧暦でしたので今の二月前後でした。
ですからこの時期身近にある野草でお粥を作っていただくと言うのは昔の人の知恵です。

薬膳でもいろいろなお粥があります。

七草粥はまさに日本の薬食粥といえます。

こんなすてきな食文化をこれからも大切にしたいですね。

 

お餅を食べると便秘する?

お正月といえばお餅。

子供の頃は、あちこちの親戚からたくさんお餅をいただいてお正月の間は
ほとんどお餅。
特に子供は自分で節制できませんのでつい食べ過ぎて便秘した!
なんて思い出話で語られることもあります。

でもこれ、人によっては「お通じがなかったんだけどお餅を食べたら
治りました!」なんて話もあります。

お餅を食べて便秘解消? それともお餅を食べすぎると便秘?

これって一体どっちなの?

実は、もち米の性質は甘温補中益気健脾止寫の作用があります。

つまり身体を温めエネルギーを補い、それから脾臓の働きを助け
下痢を止めてくれるっていうこと。
(漢方で言うところの脾臓の働きについては別の機会に詳しく説明しますね。
とりあえずなんとなく消化に関係してエネルギーを全身に巡らしてくれるくら
いに考えておいてください)

ですから普段から元気で身体に熱がこもっているタイプの人(基本的に
元気のいい子供は陽気のかたまりです。)は食べ過ぎると便秘になるし
身体のエネルギーが不足気味で押し出す力が弱くて便秘になっている人は
お餅を食べると便秘が解消するって言うわけなんです。

ついでに止寫作用というのを少し考えてみると下痢を止めるという事は、
身体の中にエネルギーを保持してくれるというイメージです。
ですからお腹が弱い人くたびれやすい人、冬なのに力がなくて
汗をかきやすい人などにはいいのです。

反対に性質が温性でねばねば(粘膩性)があるということは陽気を
身体の中に留めてくれるということなのですが、身体に熱がこもっている人、
湿気が溜まっていて気の流れが悪い人などは食べ過ぎは禁物です。
吹き出物が出やすくなります。

元気で何もない人もプチッとでてきたら食べ過ぎサインです。
おいしいからといって何でも過ぎたるは・・・ですね。

 

黒豆

あけましておめでとうございます。
2009年も幕開けです。

黒豆といえばおせち料理の定番の一つですが、今年も黒豆食べてまめまめしく働きますように!なんて子供の頃は言われたものです。

お豆の“まめ”と“まめまめしく働く”をかけただじゃれみたいですが、でもこれ一理あります。

まめまめしく働くためには足腰が丈夫でないといけません。

黒豆には健脾益腎、袪風解毒、活血利水の効果があります。

つまり脾臓を元気にしてくれて腎臓にもいいし風を払い血の流れをよくしておまけにお小水の出も良くしてくれるというわけです。

“腰は肝腎要”なんてよく言われますが、漢方では腰は腎と関係があると考えています。
また“四肢は脾が主る”ので脾臓と腎が元気な人は元気に動けるって言うわけです。

ついでに腎臓の形とお豆の形、なんだか似ていると思いません?
(よく腎臓をそら豆状の・・・なんて形容していますよね。)

五穀というのがあるのですが、そこでも豆は腎に分類されています。

水の飲み方

夏に暑くて汗をかいているときはどんどん水分を補給してください。
梅干と一緒にとるといいでしょう。

よくいわれているクエン酸や塩分の補給という効果のほかに
収斂作用があり汗が出すぎるのを防いでくれるからです。

ただしクーラーの中にいる長時間いる人、体が思いのほか冷えている人、
胃の調子が悪い人は一気にごくごく飲まず、ゆっくりかむように飲んでください。

汗の出が悪い時はあまり水分を取りすぎると更に胃の動きが悪くなってしまいます。

胃が少し疲れていると感じたら緑茶よりも焙じ茶や麦茶などがいいでしょう。

今年はうりで暑気払い

胡瓜(きゅうり)・冬瓜(トウガン)・苦瓜(ゴーヤ)・西瓜(スイカ)・・・。
ウリの字の付く野菜には体の熱を下げ小水の出をよくする作用のあるものが多くあります。

胡瓜(きゅうり)
性質:甘涼
帰経:肺・脾・胃
性質:清熱・利水・解毒
主治:熱病口渇・小便短赤・水腫尿少・水腫尿少・やけど・あせも

清熱とは体の熱を下げるという意味です。
利水とは体の余分な水分をお小水で体外に排出するという意味です。

 

苦瓜(ゴーヤ)
性質:苦寒
帰経:心・脾・肺
性質:袪暑滌熱・明目・解毒
主治:暑熱煩渇・消渇・赤眼疼痛・痢疾・瘡瘍腫毒

苦味には清熱、泄降、燥湿、健胃作用があります。
袪暑は暑気払い、滌熱というのは熱を洗うという字の如く清熱よりさらに熱を下げる作用があるということです。

消渇というのは現代医学で言うところの糖尿病に似ています。

糖尿病初期に見られるいらいらしてのどが渇く、口が乾燥する、トイレが近くて量が多い、食べても食べてもお腹がすくなどの症状の時にもいいということです。

最近では血糖値を下げる効果や抗癌作用もあると言われています。

 

冬瓜(トウガン)
性質:甘淡・微寒
帰経:肺・大小腸・膀胱
性質:利尿・清熱・化痰・生津・解毒
主治:水腫脹満・淋証・脚気(水虫)・暑熱煩悶・消渇(糖尿病)・瘍腫痔漏

とうがんの主な働きは利尿です。やはり清熱作用があります。
この他に生津といって体に必要な水分を生み出してくれる・・・つまり補う働きがあります。

西瓜(スイカ)
性質:甘寒
帰経:心・胃・膀胱
性質:清熱利尿・解暑生津
主治:暑熱煩渇・熱盛津傷・小便不利

やはり清熱利尿の作用があります。解暑というのは暑気払いということです。


以上紹介した夏の野菜はそれぞれ体を冷やす性質があります。

お腹が弱くなんとなく冷えやすい人、クーラーの中に長時間いて体が冷えすぎている人は、食べ過ぎないようにしてください。
そんな時は生姜や紫蘇などと一緒に食べると冷えすぎるのを防いでくれます。

体とスイートな関係

女性は本当に甘いものが好き。
いえいえ、女性に限らず世の男性も以外に甘いものが好きで、皆さん本当に良く食べてらっしゃいます。

お肉の食べすぎや塩分の取りすぎには白目を向ける方でも糖分の取りすぎにはまさにあま〜くなる人が多いのはなぜなのでしょう?

甘いものは脳の栄養、たくさんとるべきなどといわれる方がいます。

当院で甘味を控えるように食事指導したところ友人から身体に悪いんじゃない?と言われたなどという方がいました。

しかし普通にご飯やパンなど、いわゆる主食といわれる炭水化物は身体の中に入ればきちんと分解されて最終的にはいわゆるブドウ糖に分解されるわけですからそれらを食べていれば脳の栄養が不足するなどということはあり得ないのです。

実は、甘味には弛緩作用があります。
だれでも疲れて甘いものを食べた時にはニコッとしますよね。つまり身体を緩めてくれます。

また、滋養補脾潤燥などの作用もあります。
(栄養を与えて脾臓を補い、身体に潤いを与えてくれるということです。)

つまり本来、身体にとってなくてはならないものです。
しかし、これらが多すぎるとどうなるのか?

身体に潤いをあたえてくれるということはつまり身体に湿気を与えるということ。

従って甘味を取りすぎると身体に湿気が多くたまるようになります。

溜まった湿気がうまく排除されないと今度は痰飲という身体にとって不必要な病理産物を生産することになるのです。

実はこの痰飲は様々な疾患を引き起こす原因になります。
つまり脳梗塞や糖尿病といった類です。
ちょうど現代医学で言うところの高血糖や高コレステロールといった具合です。

甘味は本来は脾臓の働きを補ってくれます。この脾臓の働きの一つに水湿の運化というのがあって体の中の湿を循環させていると漢方では考えています。

しかし、身体に必要以上に湿が多いと脾蔵もうまくこれらを処理できなくなってしまいます。
脾臓の働きが悪くなるとさらに湿がたまりやすくなるという悪循環が発生します。

さらにもともと日本は湿気の多い国なのです。外側にも湿が多いのに内側にも湿をかかえてしまったら身体はどうなるのでしょう?

現代病と言われている花粉症やアトピー、また子供に増えているといわれている喘息などアレルギーが原因であるといわれている疾患はその多くが体質の病であるといわれています。しかしその後天的な体質を作っているのは日々の食べ物です。

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甘いものの食べすぎ 注意です。

春の薬膳?

季節のものをちょこっといただく・・・これ、食養生の基本だと思っています。

先日近くの八百屋さんでせりを発見しました。
小さい頃、父と一緒にせりつみに出かけたことを思い出し購入。
さっと茹でて粉々にしたかつお節とお醤油をかけていただきました。

やはり野生のものは力強いですね。
ほんの少しいただいただけで身体の中をきれいにしてくれる気がします。

セリの性質は辛・甘・涼、効能は清熱解毒・利尿・止血です。

感冒・煩渇・浮腫・小便不利・淋痛・尿血・便血・吐血・鼻血・目赤・咽痛・・・etc.
に良いとされています。

さて春は陽気が芽生え気が上昇する季節であるということを春の養生でご紹介しました。
また春は肝が旺気(元気になる。活発になる)する季節でしたね。

ですから肝の陽気が上に上がりすぎるとめまいや頭痛、目が赤くなるなどの症状が出やすくなります。

さて、花粉症の症状の目が赤く痒くなるという症状を考えて見ましょう。

目が赤くなったり痒くなるのは肝の経絡に熱があるという状態です。
セリの清熱解毒というのはこのような症状にぴったりです。更に帰経が肝(効果が特に肝に効く)ということは、まさにうってつけの食材といえるでしょう。

セリ科の他の食材、セロリやミツバなどにもだいたい似たような作用があります。

自然ってすごいですね。

ただしおなかがもともと弱くて冷え易い人は食べすぎに注意してくださいね。








太一堂鍼灸院で施術を行うのは、法律に基づく国家資格を有し、
高い技術力を持った、経験年数20年以上のベテラン鍼灸師のみです。




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